死の谷でバイクキャンプ。Death Valley-1
大人になってツアーに参加したのは初めてだ。ツアーに参加した事は、林間学校や修学旅行ぐらいしかない。
もしかしたら、学生時代の柔道部の合宿もツアーみたいなものかもしれない。自分を磨き上げるために、見知らぬ地に行き、全国屈指の強豪校と早朝からトレーニングをして日が暮れるまで柔道の練習試合をする。数日間、1つの事に集中出来る環境がツアー(合宿)の醍醐味かもしれない。
今回は柔道ではなく、オフロードバイクでDeath Valley National Parkの自然を走破するツアー(合宿)に申し込んだ。
オフロードバイクはスポーツだと思う。
岩場を走る時は、いかにバランスを崩さないように身体の重心移動、左右の手でのアクセルとクラッチ操作、手と足でのブレーキの微調整を同時に行うかが重要になる。
そして岩場では、自分がどのルートで通り抜けるか一瞬でイメージを思い描き、クラッチ操作しながらアクセルを吹かし登らなければいけない。岩場の急な登り坂で、慎重になり過ぎてアクセルを緩めすぎてしまうとエンストしてしまい、たちまち登れなくなってしまう。
思い描いたルートを見誤って岩などでバランスを崩したとしても、焦ってはいけない。すぐに次のルートを思い描き、バイクと身体を一体化させて通り抜けなければ転倒が待っている。
自分の実力に合ったスピードを保ちながら、一瞬一瞬の判断で地面に足を付かずに登りきった時の快感は、柔道での一本勝ちに似ている。
僕は何をするにしても長年培ってきた柔道の技術や考え方を応用して使う癖がある。(最近この考え方をアナロジー思考という事を知った。)
例えば、オフロードバイクで凸凹な土の上を走る時には立ち乗りするのだが、いかに全身の力を脱力出来るかがポイントだと思っている。そのためには、股関節や膝、足首をバネのように使う必要がある。またグリップを握る手も力を入れすぎると逆にバランスを崩しやすくなる。
強い柔道家と弱い柔道家の違いは組むとすぐに分かると言われる。強い柔道家は、相手の柔道衣を握っていても絶妙な塩梅で全身の力が抜けている。弱い柔道家は不必要な力が全身に入りすぎて、いとも簡単にバランスを崩してしまう。
要は筋肉の脱力が柔道もオフロードバイクも必要なのだ。
しかし脱力だけではなく、必要な瞬間に必要な分だけの力を込めることも同様に大切になってくる。脱力出来るからこそ、必要な力の込める量を感じとる事が出来るのかもしれない。
どちらも表裏一体で、僕は柔道やトレーニングをする時に一番重要視していることだ。
何はともあれ、地平線が見える荒野を朝から夕暮れまでオフロードバイクを乗り回し、夜はバイク仲間で火を囲んで過ごした4日間。
普段、大阪で建物に囲まれて生活している所から、建物も何もない自然の中はとても魅力的だった。